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〜 科学にロマンを、ロマンに科学を 科学とSFの接点を探る 〜

2003/10/30

太陽で大規模な爆発 磁気嵐警報発令中! 

 米海洋大気局(NOAA)は28日、太陽の表面に過去30年間で最大級の爆発を観測したと発表し、地球が磁気嵐による影響を受ける危険性を警告しました。
 この爆発は天文学で「太陽フレア」と呼ばれる現象です。太陽の内部では常に核融合が起こっており、それ自体が爆発中の核爆弾のような存在ですから、こうした現象自体は特に珍しいものではありません。しかし、凄まじいのはその威力です。太陽フレアは太陽系で起こる爆発の中でも最大級の規模で、それによって生成されるプラズマの温度は数億度、爆発のエネルギーは水素爆弾百万発分に及ぶというから想像を絶しています。また、太陽フレアの構造自体がまだよく分かっておらず、これは天文学の最先端のテーマにもなっています。
 さて、心配されている磁気嵐ですが、これは太陽フレアによって放出された高エネルギーの粒子(電子や陽子)が地球の電離層にぶつかって、これをかき乱すことによって起こります。電離層というのはオゾン層などと同じように、地球の大気の上の方にある層状の領域のことです。ここには電気を帯びた粒子が分布しており、普段は地上から来る電波を反射して、直接見通しのきかない遠距離の通信を可能にする役に立っています。
 では、磁気嵐が発生すると具体的にどんな問題が起きるのでしょうか。まず、電離層が乱されることで、通信や放送に障害が発生します。さらに、カーナビなどの電子機器が誤作動したり、悪くすると停電の危険が生じます。実際に1983年の磁気嵐の際には、カナダで停電事故が発生しました。また、太陽から来る高エネルギー粒子の影響をまともに受ける人工衛星にも障害が出ることがあります。こうした問題を事前に予測するため、最近では宇宙天気予報なるものまで登場しています。
 このように迷惑千万な太陽フレアにも、ひとつだけ良いことがあります。それは、普段オーロラが見られない地域でオーロラを見ることができるようになることです。そもそもオーロラというのは、太陽から飛んでくる電気を帯びた粒子が、地球の磁場の影響で極地の大気に衝突して起きる現象ですから、大規模な太陽フレアが起きれば極地以外でもオーロラを観測することができるようになるのです。実はすでに、今回の太陽フレアによって北海道でオーロラが観測されています

2003/10/16

中国が有人宇宙船の打ち上げに成功 

 すでにマスコミなどの報道でご存じのとおり、中国がロシア、アメリカに続いて、有人宇宙船の打ち上げに成功した3番目の国になりました。実は私、この宇宙船の打ち上げについては事前に全然情報を持っておらず、打ち上げの数日前にようやく知って非常に驚きました。中国の宇宙開発については、軍用ロケットを民間に転用して、外国の人工衛星を打ち上げるビジネスが進んでいることで有名でしたが、その裏で人間を宇宙に送り出す計画が進められていたとは。
 今回の打ち上げで面白いと思ったのは、宇宙船が地球に還ってくる場所が海ではなくて、中国国内の草原だったということです。スペースシャトルのように翼がついた宇宙往還機なら別ですが、パラシュートで減速するタイプの宇宙船は広い海の真ん中に着水するのが定番です。どうしてわざわざ陸地に還ってくることにしたのでしょう。運悪く岩場にでも衝突したらどうするつもりだったのでしょうか。
 また、もう一つ興味を持ったのは、今回の宇宙船の名前「神舟5号」です。ネーミングセンスは今ひとつの感が否めませんが、宇宙船の名前が漢字というのはなかなか愉快な気分です。ちなみに、日本の人工衛星には伝統的に花の名前がつけられてきました。気象衛星「ひまわり」が有名ですが、他にも「さくら」、「きく」、「ゆり」など多くの種類があります。
 「ひまわり」といえば、数年前「ひまわり」の後継機となる衛星の名前が一般募集されたときに、私は「なでしこ」という名前で応募しました。どの名前が採用されるかは、打ち上げの成功後に発表される予定になっていましたが、打ち上げられた衛星は見事に空中で自爆してしまいました。もしかして、名前が悪かったのでしょうか?

(2003/11/10 追記)

 「日経サイエンス 2003年11月号」に今回の中国の有人宇宙飛行に関する詳しい記事が載っています。わかりやすい記事ですので、興味のある方はぜひご一読ください。

2003/10/14

携帯電話は脳腫瘍と無関係? 安全性の証明問題 

 このたび総務省は、長期にわたる携帯電話の使用は脳腫瘍の発生に影響しないという研究結果を発表しました。この研究は、2年間にわたってラットの脳に携帯電話の電波をあてる実験を行い、通常の飼育を行ったラットとの間で脳腫瘍の発生を比較するというものです。その結果、携帯電話の電波をあて続けても、脳腫瘍の発生にはなんら影響が認められなかったとのことです。
 携帯電話の電波が人体に悪影響を及ぼすのではないかという懸念は、ここ何年もの間ずっとつきまとい続けてきました。様々な研究者がこの問題についての研究を行い、結果を発表していますが、悪影響があるというもの、ないというもの、結果は様々です。ただし、今のところ明らかに悪影響があると多くの研究者が認める結果は一つも出ていません。
 今回の研究も、そうした数々の研究の一環ですが、残念ながらこれで問題が最終的に解決することはないでしょう。携帯電話の電波に明らかな危険性が認められなくても、新しい技術になんとなく不安を抱く人がいる限り、この手の議論はいつまでも続けられていくのです。
 同じことが農作物の遺伝子組み換えにも言えます。明確な危険性が証明されているわけではないにしろ、毎日口に入れるものが安全でないかもしれないというのは、人々の不安をかき立てます。しかし、絶対に安全であることを証明するのは、危険であることを証明するよりも遙かに難しいのです。品種改良という形での遺伝子組み換えは、何百年もの間あたりまえのように行われてきたのに、それをもってしても絶対に安全だとは言い切れないのですから。

2003/10/13

最近の研究者は現実志向? 科学者に夢を! 

 文部科学省の意識調査によれば、科学技術に携わる人材の意識が現実志向に変わってきているとのことです。この調査でまとめられた、ここ10年間の職業選択に関わる意識の変化は3点、「科学技術に対する夢が失われてきたこと」、「自然の真理の探究に対する意識が失われてきたこと」、「科学技術に対する関心、社会貢献の意識が増えてきたこと」です。
 当サイトの基本方針は「科学に夢を!」ですから、この調査結果はかなりショックです。3つ目の社会貢献に関する意識が増えてきたというのはいいことですが、科学者たるもの、自然の真理を探究する心と、科学技術に対する夢をなくしてはいけません。夢のない科学なんて、クリープのないコーヒー・・・じゃなくて、人間の心を持たない鉄腕アトムと同じです。研究者も夢があるからこそ、成功するかどうかも分からない研究に何十年も情熱を傾けることが出来るのですから。
 どうしてこうなってしまったのでしょう。私はここで大胆な仮説を提案します。すなわち、子供のころに素晴らしいSF作品に出会う機会がなかったために、夢のない科学者が増えているのだ、と。当然、ここで文部科学省が取るべき政策は決まってきます。そうです、小中学校の学習指導要領にSFの学習を入れるのです。この方が、国旗と国歌を強制的に押しつけるよりも、この国の将来のために役立つこと間違いありません。

(2003/11/11 追記)

 ZDNetで「萌えキャラが“理系離れ”を防ぐ?」という、似た趣旨の記事を見つけましたので、参考までにご紹介しておきます。なお、記事で紹介されている「萌えキャラ」は著者の基準では萌えのうちに入りません。著者の趣味は著者紹介をご覧ください。

2003/10/10

見えない惑星を探せ! 地球外生命探査の今 

 今回は地球外の生命を探すお話です。ここで最初にお断りしておかなければならないのは、これから取り上げるのは、いわゆる宇宙人と言われるような地球外知的生命体(E.T.)を探す試みではなく、細菌のような微生物を含めた、あらゆる「生き物」を探し出す試みだということです。地球外知的生命体に関しては、地球の外から来る電波を解析して探し出す研究などが行われていますが、長くなるので今回は取り上げません。宇宙人の話はまたの機会にいたしましょう。
 さて、地球外生命を見つけるために必要なことはたくさんありますが、その中でも一番重要なのは「地球に似た環境の星を見つける」ことにつきます。たとえば、液体の水があるとか、表面温度が適度であるとかいったことです。特に水は地球型の生命に必要不可欠の要素で、これがあるだけでも生命が存在する確率が格段に高くなります。
 地球に似た星の候補としては、まず太陽系の他の惑星や衛星(月)があげられます。たとえば、火星には過去に液体の水が存在した証拠が見つかっていますし、木星の衛星「エウロパ」の表面には膨大な量の氷があり、その下は水になっているという仮説もあります。
 さらに、候補となる星は太陽系の外にもあります。正確にはあるはずです。どうして断言できないのかといえば、太陽系外の惑星が直接目で確認された例はこれまで一度もないからです。なぜでしょうか。答えは簡単です。太陽系外の惑星は、中心にある恒星(太陽)の光にかき消されて、なかなか判別することができないからです。ちょうど、昼間は空の星が見えないのと同じ理屈ですね。
 それでは、どうやって見えない惑星を見つけるのでしょうか。これこそ現代科学の最先端の課題です。一つの方法は、惑星が恒星の周りを回るときに、その重力で恒星の位置がわずかにずれるのを観測するやり方です。別の方法もあります。惑星が恒星の前を通過するときに、恒星の光がわずかに暗くなるのを観測するのです。実際に、これらの方法で数年前から太陽系外の惑星がいくつも発見されています
 しかし、こうした方法は、いずれも間接的に惑星があることを見つけ出しているだけなので、実際にその惑星がどんな環境なのか、つまり生命が存在する可能性があるのかどうかといった肝心の部分を知ることはできません。それを行うためには、直接惑星を目で見る(光学的に観測する)ことが必要なのです。惑星からの光を観測することができれば、現在ある科学知識を元に、その惑星の環境(大気成分、表面温度など)をおおよそ特定することが可能になります。そうすれば、太陽系外の惑星にどの程度生命が存在するのかもわかるようになるのです。
 この分野で今注目されているのは、NASAの3つの宇宙望遠鏡計画です。宇宙望遠鏡とは、地球を回る軌道上に人工衛星として打ち上げられる望遠鏡のことで、数々の発見をもたらした「ハッブル宇宙望遠鏡」が有名です。現在NASAが最初に予定しているのは2007年の「ケプラー計画」です。それに続いて2015年には「テレストリアル・プラネット・ファインダー」(その名も「地球型惑星探査機」)、さらに2020年以降には野心的な生命体探査計画「ライフ・ファインダー」(同じく「生命探査機」)が予定されています。
 そうです。地球外生命探査は、もはや机上の空論ではないところまで来ているのです。

2003/10/07

新型プリオン発見 新たなる病原体か? 

 共同通信の報道によると、茨城県の食肉処理場で解体された肉牛がBSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)に感染しているのではないかと疑われていた問題で、厚生労働省の専門家会議は、この牛の脳から新型の異常タンパク(プリオン)が検出されたため、これまでの感染牛と異なる特徴を持つ「非定型的なBSE」に感染していると結論付けたそうです。
 タンパク質というのは我々生物の肉体を形作っているだけでなく、体内の機能すべてをコントロールしている極めて重要な物質です。ここで問題にされている異常タンパク(プリオン)というのは、まるで子供を生むように「次々と自分自身の複製を作ってしまうタンパク質」のことです。元々自己複製という機能は生物に特有のものとみなされていて、数十年前までは病原体としてこの特徴を持つのは細菌やウイルスだけだとされていました(これらもタンパク質の組み合わせでできています)。つまり、生物の基本的な構成要素である極小なタンパク質それ自体が生物並みに自己複製するなどということは学界の定説ではなかったのです。しかし、次第にその説が正しいことが認められるようになり、1997年にはプリオン説の提唱者であるプルシナー氏がノーベル賞を受賞しています。
 正確に言えば、プリオンも完全に自力で自己複製する力を持っているわけではありません。自分の周囲にあるタンパク質に働きかけて、それらを自分と同じ異常タンパク質に変えてしまうのだと考えられています(自力で自己複製できないという点ではウイルスも同じです)。さて、生物の中でそれが行われるとどうなるかというと、場合によっては体内の機能に異常をきたして病気になってしまいます。これがプリオン病です。牛の場合はBSE(いわゆる狂牛病)、人間の場合はクロイツフェルト・ヤコブ病(痴呆症の原因のひとつ)などがこれにあたるとされています。
 さて、元に戻って今回のニュースですが、新型のプリオンが発見されたということは、新種の病原体が発見された可能性があるということです。ただし、これはまだ可能性にすぎず、正確なことは今後の研究を待たなければなりません。

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